第4章 誕生日 10/23ver.《伊月俊》
「お待たせ〜」と言いながら、目の前のテーブルに置かれたのはカレーライスとサラダ。
カレーといえば、一瞬夏の合宿前の試食会で食べた監督のカレーを思い出すが、真由美が持ってきてくれたのは“ちゃんとしたカレー”だ。
「おつカレー……、なんちゃって」
ペロッと軽く舌を出しながら言う真由美。
「それいただき!」
すかさずメモを取っている俺を見て真由美は笑う。
「お疲れの彼にはカレーライス!キタコレ!」
「おっ、さすが俊君!」
「真由美からヒントもらったからな!」
「フフッ、私も俊君と付き合い出してから、ダジャレ考えるのが癖になっちゃった♪ そのせいで、友達に何回か冷たい目で見られたけど…」
「俺も毎回日向にキレられてる」
俺たちは2人で顔を見合わせながら苦笑した。
「早く食べないと冷めちゃうよ?」
「そうだな。じゃあ、いただきます」
俺が食べ始めると、真由美も自分の分のカレーをついできて、俺の向かいに座り食べ始める。
「旨いよ」
「良かった!今はまだ簡単なものしか作れないけど…、次はもっと手の込んだ料理ご馳走出来るように頑張るね」
そう言って、両手で小さくガッツポーズをする彼女に思わず顔が緩む。
俺はわざわざ作ってくれただけで嬉しいのに。
そんな可愛いことを言ってくれるんだから。