第4章 誕生日 10/23ver.《伊月俊》
誕生日の電話のときにそう言ってくれて、迎えた念願の部活休みの日が今日だ。
念願といっても部活を休みたかったんじゃなくて、早く真由美とゆっくり過ごしたかったってことね。
真由美から〝今から来てほしい〟と連絡があったので、彼女の家へ向かう。
部活が休みのときしかゆっくり過ごせないから、俺は内心かなり舞い上がっていた。
たぶん、早歩きどころか小走りで向かってる。
「今日も競歩!キタコレ!」
心無しか、ダジャレのキレもいつもより良い気がするな。
***
彼女の家に着きインターフォンを鳴らすと、可愛いらしいエプロンを身に付けた真由美が出迎えてくれた。
「ど、どうしたの俊君!そんな息切らして」
「ハァ、ハァ…。早く真由美に会いたくて、走ってきたんだ」
「っ…!もう、いきなりそんな恥ずかしいこと言わないでよ」
真由美は顔を赤くしながら、早く入ってと俺を家の中へ入るよう促した。
それからダイニングに案内され、少し待っているよう言われた。
真由美が向かったキッチンからは、男なら誰でも好きであろう、アノ食べ物の匂いが漂っている。
どうやら彼女は俺の為に食事を用意してくれているみたいだ。