第9章 誕生日 11/11ver.《宮地清志》
「おーい……、お前いつまでそうしてるつもりだ?」
後処理を済ませ、清志は上半身裸のままベッドに腰掛けていて、私は着替えてからずっと布団の中に潜っていた。
「真由美ちゃーん、出てきてくださーい」
「……。」
「……そろそろ出てこねぇと、引き摺り出すぞ?」
たぶん、清志は今いつもの黒い笑顔を浮かべてるんだろうな。
でも、無理。
恥ずかし過ぎて顔見れないもん。
だんまりを決め込んでいると、モゾッと清志が布団の中へ入ってきたのが分かった。
そして、背中から包み込むように抱き締められる。
「何で、出てきてくんねーの?」
「……だ、だって、幼馴染の清志と… あ、あんなことした後に普通に出来る訳ないじゃんっ!」
「……何、お前嫌だっ」
「嫌な訳ない!けど……っ」
清志の言葉を食い気味に少し大きな声でそう言うと、クスッと笑う声が耳元で聞こえた。
「なるほどね、真由美ちゃんは恥ずかしーんだ」
からかうような言い方に、私は「悪い!?」と声を荒げた。
「別に〜。けど、これだけ訂正しとく。俺はもうただの幼馴染じゃねー。お前の“彼氏”、な?」
「っ…!」
「で、彼氏として初めて誕生日を過ごしてる訳だけど。お前はいつまでそっぽ向いてんの?」
清志の少し拗ねたような声。
可愛いと思ってしまったのが悔しい。
私は清志の方へ体ごと振り向き、チュッと触れるだけのキスをした。
「っ…、誕生日おめでとう、彼氏さん」
「サンキュ、彼女さん」
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