第9章 誕生日 11/11ver.《宮地清志》
「ほんと…」
私がそう言うと、何故か少し寂し気な表情を浮かべて黙り込む清志。
(何でそんな顔するの…?)
「清志…?」
「……何でもねーよ。ただ、面白くねぇなと思っただけ」
「?」
分からない、というように首を傾げると、清志はハァと一つ溜息を吐いた。
「俺が女と別れんのはお前と関係ある、っつったよな?」
「うん…」
「けど、お前が男と別れんのに俺は関係無ぇんだろ?」
「っ…、うん」
「それが面白く無ぇって言ってんの。……まだ俺が何を言いたいか分かんねぇ?」
「?……うん?」
「……鈍感」
清志は項垂れるように、もう一度溜息を吐いた。
そして、掴んでいた私の腕を自分の方へグッと引き寄せる。
「わっ……、っ!?」
清志の顔が凄く近くにある。
こんな近くで見たの、かなり久しぶり、かも。
「決めた。誕生日プレゼント」
「……今更何言ってんの?」
こんなドキドキするようなシチュエーションを作っておいて、何を言い出すかと思ったら今更誕生日プレゼントの話。
もう遅いってば。
「お前、頂戴」