第9章 誕生日 11/11ver.《宮地清志》
「俺にとっての普通はお前といることだから」
「っ……!」
幼稚園の頃から一緒に祝ってるから、っていう意味なのは分かってるんだけど、何故か清志の言葉にドキドキしてしまう。
「それでフられたら元も子もないじゃん……。アンタって馬鹿…?」
「……別に、フられたのはそれだけが理由じゃねーし」
「じゃあ、何……?」
「……教えねー」
「…あっそ。聞いたあたしが馬鹿だったわ。……ってゆーか、手離してよ。痛いんだけど」
「……ヤダ」
190オーバーの大男がヤダって言っても可愛くないから。
そんな拗ねた顔しても可愛くないから。
……嘘。
ちょっと可愛い。
「っ…、アンタねぇ……」
「俺も聞きてぇことあんだけど」
手首を掴む力が少し強くなった気がした。
「何?」
「俺に長続きしねぇとか言うけどよ、お前も人の事言えねーだろ?男と長続きしたことねーじゃん。それは何で?」
「っ…、アンタに関係無い!」
「ふーん…。ほんとに?」
探るような目で見てくるもんだから、つい横に目を逸らしてしまった。
……だって、絶対言えない。
歴代の彼氏に「俺と宮地、どっちと居たいの?」って聞かれて、清志って答えてるからフられてるなんて。