第2章 #1 特別研修医
望愛が家に帰ると、双子の妹・愛結が出迎えた。
愛結は地元の中学校に通っていて、フィギュアスケートを小さい頃から習っている。
「望愛、今日遅かったんだね」
「うん。愛結はこれからフィギュア?」
「今日は定休日。だからさっき友達と前戸(隣町)のリンク場に行って帰ってきた所」
愛結は、ランニングウェアを着たまま麦茶を飲んでいた。
「そっか。お父さんは?」
「今電話してる」
そう言って、愛結は部屋に着替えに行った。
1階の奥の間には、仏壇があり、そこに飾られている遺影は、望愛と愛結の母・ゆかりだった。ゆかりは2人が6歳の時にビルの屋上から飛び降り自殺をして亡くなった。
「お母さん、ただいま」
すると、電話を終えた父・宏明が望愛の肩にそっと触れた。
「お父さん…ただいま」
「おかえり、望愛。ご飯が済んだら、愛結も一緒に今日の話について話し合いたいんだけど、良いかい?」
「うん。ありがとう」
望愛も自分の部屋に行き、部屋着に着替え、家族3人で夕食を食べた。