第2章 #1 特別研修医
放課後、担任の指示通り職員室へ向かうと、既に昨日一緒に女性を助けた男子生徒が入口の前でもたれていた。
「教頭がここで待っとけだってさ。お前、いつも表彰式で俺と同点の奴だろ」
「昨日は、処置で頭がいっぱいで思い出せなかったけど、やっぱり表彰式で会ってたんだ」
男子生徒は、ちょっと顔を逸らす。
「確か同じ医療コースのB組だよね?」
「…あぁ。入試でもお前とトップで同点だったんだ。でも2人も一緒の組になったら不公平だからって俺はお前より苗字が後だからB組になったんだ」
明らかに不服を言っている。陽南の医療コースでは、1年生は入試の成績順に交互にA組とB組でクラス決めをされている。
「でも、2年生になったら、 成績順に上から半分がA組、下から半分がB組って分かれるんでしょ?そうしたら、一緒のクラスになれるじゃない」
「誰もお前と同じクラスになりたいと思ってねぇよ」
男子生徒は、冷たく言い捨てる。
(冷たい人だな…)
望愛は、少し落ち込んだ。
「2人とも揃ったね!では行こうか」
教頭が2人を呼んだ。
教頭の顔には汗が次から次へと流れてくる。それをハンカチで絶えず拭き取っている。
「良いかね。君たちにお客様が来ているんだ。お客様にご迷惑の無いようにするんだよ」
そう言ってたどり着いた部屋の看板には、
『校長室』
と書かれてあった。