第2章 #1 特別研修医
(この女性が、倒れたのはおそらく熱中症によるショックの為…)
少女は、女性の体をしっかりチェックして、倒れた原因を突き止めた。
そこへ駅員と数名の体格の良い男性が会議用の長机を持って駆けつけた。またタイミング良くシーツを持った女性がやって来たので、少女はその女性と一緒にシーツを倒れた女性の横に敷き、男性達に、
「今からこの女性を長机の上に乗せるので、まずシーツの上に女性を乗せ、そのあと長机に乗せて建物の陰に移動します」
その頃少年は心臓マッサージからAEDに切り替え、蘇生処置を行っていた。すると、電気ショックによって跳び跳ねた女性の体が浅く波をうち始めた。
「よし、心肺再開!間に合ったな」
少年と少女は顔を見合せ頷いた。
その後、救命隊員が到着した頃には、脈も正常に戻り、女性の顔色も元に戻っていた。
彼女の連れ合いの男性は、協力した人々にお礼を言いながら、野次馬達から拍手を貰う二人を見つめていた。
(あれは、陽南中学の生徒か…)
二人はその目線には気付くはずもなかった。