第7章 act6
シャワー室から出るとローはベットに座り本を読んでいた。
「…空いたよ。ありがとう」
「ああ」
「ローはシャワー浴びないの?」
「俺はいい…!」
突然視界から消えたそれにローは舌打ちをする。
本はの手元へ奪われた。
「面倒くさがって!だからそんな不健康そうな顔してるのね」
「関係ないだろ」
重たそうに腰を持ち上げローはベットから降りる。
棚から何か取り出して、は座れと指示されたイスに座った。
腕を取られ袖を捲られる。
すると独特の薬液の匂いが鼻をついたと思ったら、うっすらと跡の残っているそこに湿布のようなものが貼られた。
そして包帯を軽く巻かれた。
その無駄の無いこなれた手付きには関心する。
「あ、ありがとう。っていうか上手だね」
「そうか?まぁ趣味は解剖、分解、たまに治療だな」
「…今なんと」
「だから、解…」
「みなまで言うなっ」
はローが包帯を閉まった棚を覗く。
すると瓶に入った大量の液体やら薬やら浸されている謎のものやら…
は理解した。
「海賊と医者、両方やってるの?」
「まぁそんな所だな」
尚更その指の刺青の意味が怖いなとは思ったがそれは心に秘めておこう。
暫し、どちらとも何も喋らず沈黙が訪れる。
は椅子に座ったまま。
ローは壁に寄りかかっている。
一点を見つめたままローは静かに口を開いた。
「初めて会った夜の日、別れ際言った事覚えてるか?」
「…俺と海へ来るか、だよね」
そう、あの時はただの勢い。
しかし今は相応の覚悟と確固たる決意があって。
「俺達は明日、この島を経つ」
「うん」
にとってそれは知りたくない現実。