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一輪の花

第8章 act7








皆との別れを終えたは、海へ続く道を一歩一歩踏みしめながら進んでいた。




あの岩場の陰を抜ければあの黄色をした船が見えてくる。



その時だった。




「よォ」


「ロー! 突然現れないでよ、びっくりした」




の荷物の様子を見て答えが分かったのかローは満足そうに口端をあげる。



「ちょっと付き合え」


「?」




それから暫く歩いて高台にある丘の上に来た。

一つだけ大きな木が生えていて、木陰が気持ちいい。
辺りはふかふかの芝生と向日葵畑。

そこからは海がとても綺麗に見えて。



綺麗…

無意識にそう口に出た。






「、ここにあいつが眠ってんだ」




ローが静かに告げる。
は驚いてその場所を見つめる。




丘に突き立つ白い十字架。
そして供えられた花。




「フランさん…」




はしゃがみ野花の咲く地面にそっと手を触れる。



「墓には来たくなかった本当は。フランの死を突き付けられるようで……怖かったから」


「うん」



貴方から怖いなんて言葉が出るなんて。



「でも今はお前がいる」


「うん」




孤独な貴方に今日から私の持つ愛の全てを捧げましょう。




なぁ…俺の夢を、人生を、これから側で一緒に見てくれるか。











「、俺と来い」





かっこいい事言ってるくせに、手はポケットに突っ込んで目線は目の前に広がる海に向いたままで、私を全然見てくれない。



帽子をいつもより深く被り直したのはきっと照れ隠し。



そんな姿が可愛くては気付かれないように微笑む。



そして小さく頷いた。




「はい、ロー」














フラン。

お前のいない景色は俺達にどう映るかと思った。




しかしそこには一輪の花が咲いていた。




その花は見る見る内に根を深くはらせて。



俺はこの花を枯らさない、そう誓った。




フラン。

どうか俺達を見守っていてくれ。




風に揺れ向日葵の花が笑っていた。


END
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