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一輪の花

第7章 act6








は日の暮れた街を一人歩いていた。

先程から雨が降りしきり、傘なんて持っていなかったので全身は雨を浴び身体に張り付いた衣服が気持ち悪い。

今こんな思いの中家に帰り孤独を思い知るのも辛く、ただ無の境地で足を進める。




こんな時に雨なんて私どこまでついていないんだろう。

みすぼらしい自分に同情しようか。




船長さんに嫌われた。

お仲間さんにも迷惑をかけて。



出会って3日間、船長さんといる時はとても楽しい時間だった。


だけどこれで諦めがつくじゃないか。


きっと明日くらいにはこの島を去っていくはず。






私は少し思い上がっただけ。

忘れましょう。







「ねぇちゃん行く場所ねぇの?」

「俺らと遊ばねぇか?」


俯いていた顔を上げれば、私は男の集団に囲まれていた。

逃げようにも前にも後ろにも道はなく。




「ヒッヒッ…イ〜イ匂いがすんなぁ姉ちゃん」

「楽しいコトしようぜ。いくらでやる?」



下品な笑みを浮かべ汚い歯を見せてくる連中。



「…全く、ふざけないでくれる?」


は目の前に居た男の股間を思い切り蹴り上げた。


途端、声を荒げる連中達。


「このアマァ!なめた真似しやがって! 女だからって容赦しねぇぞ!」


表情が一変した男らは私の髪を引っ張り建物の陰へ連れて行こうとする。


「いやっ…! ちょっと!…ぅぐッ」


地面に叩き付けられ、どこから取り出してきたのか縄で手足を縛られる。



「いやっ!……船長さん…ッ!」


無意識に口から出た悲鳴。


それは彼へ、だった。



「ROOM」



なんだか聞き慣れた声と共に辺りを包む謎の薄い円膜。




「あ?なんだ?」



「…メス」



「……ひっ⁉︎…うぐ…!」







倒れ出す男達。

それは瞬きさえ許さない一瞬の出来事で。

それから彼らはもう起きる事はなかった。



倒れる男達を足で退かし、フワフワした帽子のシルエットがこちらへ近づく。

暗くてよくわからなかったがそれは。

紛れもなくローだった。
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