第4章 act3
「しょうがねぇな…ちょっと散歩でもするか」
「じゃあ海行こう」
「ああ、あそこか。…もっと景色の良い所知ってるけどな」
「そうなの⁉︎」
途端、晴れやかな表情になるにローは完全にペースを持って行かれていた。
ころころと変わる彼女の表情にローは出来るだけ笑顔をあげたい、そんな風に思い、ふと彼女の手を握った。
「えっ、ちょっと何この手」
「ああ?この方が温かいだろーが」
「DEATHって入ってますけど」
「黙れ」
もっと良い景色の所を知っている、と言うのは嘘ではないが、最初に出会ったあの場所は流石に船舶する船に近いからクルーの目を避けたかったのも事実。
冷徹で名の通る海賊の船長が女を連れ餓鬼臭く手なんか繋いでるのを見られては堪らない。
もう喰ったのかこれからなのか、
所詮そんなネタで持ちきりなのは目に見えている。
「船長さん?なんか怒ってる」
不覚にもくだらない思いが顔に出ていたようだ。
眉間の皺を見てはお伺いをたてた。
「ああ?怒ってねぇよ」
「ですよね〜、あ、ごめん、もともとそういう顔だもんね」
「バラされたいのかてめぇ」
「凄むと怖さ倍増〜」
「てめぇ…調子にのるなよ」
生意気で憎たらしいけど、こんなに楽しい夜はないだろう。
今夜はお前の気が済むまで、話し相手になってやってもいいさ。