第4章 act3
夜も更けてしまい、長い事店に居座ってしまったようだ。
最後の客になって出れば風が少し肌寒くてローはポケットに手を突っ込む。
「お前んちどこだ、送る」
「怖い顔して貴方って優しいよねぇ。そのギャップに何人女の子落として来たんだか」
「ああ?うるせぇな。女が勝手に落ちんだ」
「ふん、私は落ちないわよ」
ばちっとウインクを向けたへローはただ黙って聞き流した。
「いいから家、どっちだ」
「……」
反応のないにローは段々と苛々が積もる。
ただでさえ先程の台詞を覚えていて機嫌が悪いと言うのに。
「おい聞いてんのか」
少し声が大きくなったが、の顔を見ればローの表情は戸惑った。
「家に居たって…寂しいだけだもの」
一人が怖い
最後のそれは耳をよく澄まさないと聞き取れないようなか細い声で。
「今がこんなに楽しければ楽しい程、家に帰ったら一人じゃない」
ローは怖くないの? 一人
いや俺だって怖いさ。
一人だと思う孤独と、
愛する人がいないという絶望が。