第3章 とんこつ団という名の組織
【狂馬(クァンマー)】という聞きなれない言葉に疑問を残しつつも、僕は促されるままに暖かな印象を与える木製の椅子に近づく。
ペコリと一例をして、金髪の男の人の右斜め前側に座った。
すぐにルネさんも向かいに、クリムさんは僕と一つ間を空けて座った。
――まさか、たったの一日でこんな事になるなんて。
テーブルの木目を見ながら僕はそう思った。
もし、何か不審な行為をしたら殺されてしまうかもしれない。そもそも、もうここから逃げられないかもしれない。
今更ながらこの非現実的な組織に関わってしまったんだなと痛感した。
「そんなに怖がらなくて大丈夫ですよ」
いつの間にか顔がこわばってしまっていたのか、ルネさんが微笑みながらそう言ってくれた。
僕がヘラっと笑いそれに応じると、男の人が仕切りなおすようにコホンッと咳払いをした。
「君がリヒト君、だな?」
じっとその青い目で見据えられ、少し緊張が解れた所でまた肩に力が入る。返事がとても掠れた声になってしまい、つい顔が熱くなった。
しかし男の人はそれを気にする様子もなく、至って真面目な顔で、
「俺はとんこつ団の団長を務めているレオパールだ。レオでもレオさんでもレオにゃんでも、好きに呼んでくれていい」
と、真面目なのか真面目じゃないのか分からない事を言ってきた。どうやらこの金髪の男性はレオパールさんというようだ。
しかもとんこつ団の団長らしい。とんこつ団という何とも言えない名前をつけたのもこの人なのだろう。