第3章 とんこつ団という名の組織
「ったく、ほんとに往生際の悪い奴だな……」
僕が重い口を開こうとしたその時、今まで押し黙っていたクリムさんがため息まじりにそう言った。
「分かんねーのかよ?」
「な、何がですか?」
僕はクリムさんに視線を移し尋ねた。クリムさんは腕を組み、目を瞑っている。
「ここに住めばな……」
すると、クリムさんはカッと目を見開き、
「三度の食事はもちろん、自分の部屋は与えられ、風呂も入れるんだぜ!?」
机をダンッ!と派手な音を立てて叩きながら僕に言った。
「な……っ、
なに……っ!?」
僕はそんなクリムさんを目を丸くして見た。
いや、クリムさんを見ているが意識は別のところにあった。
三度の飯?
自分の部屋?
……風呂!?
あまりの衝撃的な言葉に僕はだらしなくも口をポカンと開けていた。
「しかも、アジトでは何でも好きな事をやってもいい!
てめぇはそれでもこの申し出を断るのかよ!」
追い打ちをかけるかのように、立ち上がり力説するクリムさん。
そんな……そんなことを言われたら僕は……っ!
「レオさん」
「ん?」
再び顔をレオさんに向ける。
「僕をとんこつ団の一員として、雇ってください」
レオさんとルネさんが顔を見合わせた。
そして、
「とんこつ団へようこそ、リヒト!」
と、僕に右手を差し出してきた。
「よろしくお願いします」
僕は笑顔で頷き、その手を握った。