第3章 とんこつ団という名の組織
「……あの、こんな所にアジトあるんですか?王家直属なんでしょう?もっと豪華な所にあるんじゃ……」
静かさに耐え切れず、僕は二人のどちらにとも言わずそう問うた。ボリュームを落として言ったつもりだが、しーんとした空間の中では際立って大きな声だった。
そしてその問いに先に反応したのはクリムさんだった。
「そりゃお前、暗殺隊の住処が皆の目に付く所にあったら、敵にだって一発で見つかんだろ。ほんと馬鹿だな」
僕は豪華絢爛に飾られ、『とんこつ団』と堂々と書かれたアジトを想像した。……でも確かに、目立ってはいけないのかもしれない。
それにしてもこの人は、毒を吐かずにはいられない性格なのだろうか。
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その後、僕達は本格的に森の中に入っていった。
暗闇の中で、木々のシルエットは月明かりに照らされて幻想的だったが、ルネさんとクリムさんの姿はぼんやりと闇に溶け込んでよく見えなかった。
まさか心中でも計らされるのではないのだろうか、という考えが頭をよぎった頃だった。
「ついたぜ」