第3章 とんこつ団という名の組織
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港を後にした後、僕達は市場を歩いていた。
暗闇にオレンジの家の明かりが点々と灯る街は、どこか懐かしい雰囲気が漂う。夕飯の買い足しに来た主婦や仕事帰りの男達、商売人等でとても賑わっていた。
風景が似ているとはいえ、やはり雰囲気が水鏡の国とは違う。僕は初めての外国に密かに興奮していた。
「……で、いつまで笑ってんですか?クリムさん?」
噴水の前に来た頃、僕は隣のクリムさんにそう言った。
クリムさんは港を出てから、「金が……ない……」と僕の真似をしてはクスクスと笑っていた。
「だってお前……気づくの遅すぎだろ。マジで間抜けだな」
嫌味ったらしい笑みを変えぬまま、クリムさんは言う。
そんな事を言ったって勝手に連れてきたのはアンタだろう、と反論しようとした時、遮るようにルネさんが「リヒトさん、見えますか?」と振り返りながら言った。
「あれが王宮ですよ」
僕より前に歩いていたルネさんは、更に前の方向を指差しニコリと笑う。
その指の先に目をやると、確かに大きな塔らしきものの一部が闇夜に馴染んでいた。
「おお、大きいですね」
そう思わずそ感嘆の声を漏らすと、ルネさんは嬉しそうに笑い、また歩き出した。クリムさんは違う意味でクスクスと笑っている。二人の場所入れ替わってくれないかな。