第3章 とんこつ団という名の組織
船を見渡す。
比較的小さめの船なようで、どちらかと言うとボートという表現が正しかった。
乗っているのはルネさんとクリムさんと僕、そして向こうに船乗りがいるだけ。
船乗りに「僕、誘拐されてます」とでも言おうかと思ったが、そんな事を言ったら、逃げ道もない船の中二人に何されるか分かったものじゃない。
できるだけ二人から遠ざかって、またクリムさんに視線を戻す。
「……あの、船に乗ってどこまで行く気ですか」
とりあえず一番気になってることを聞いてみる。
すると、クリムさんは淡々と、
「花冠の国の、とんこつ団アジトだが?」
と答えた。
あまりの堂々とした態度に僕は呆然とした。
いや、なんとなく答えは予想出来たが、こうもサラリと言われるとは。
今度はルネさんに尋ねる。
「なんで僕が……とんこつ団、の隊員に入らなきゃいけないんですか?」
「ああ、それに関してはアジトで詳しく説明しますよ」
ニコニコと答えるルネさん。
すでに僕がアジトに連れて行かれる前提で話してしまっているのに気づき、ため息をついた。
「なんだクリクリ坊主、悩みか。俺に話してみろ」
「海に突き落としますよ」
「やめろ、俺はカナヅチなんだ」