第2章 非日常の始まり
そこで後ろの男の人、クリムさんが口を開いた。
「怪しい者じゃないから、こっちおいでクリクリ坊主」
「いやそれ完璧誘拐犯のセリフ……クリクリ坊主!?」
怪しい者じゃないとか言われたって、急に路地裏に現れて話しかけてきた黒ローブの二人組とか怪しい者以外の何者でもない。
「なんなんですか、あんた達……僕金持ってませんけど」
じっと二人を睨んでみる。
もし盗賊ならば、他をあたってほしい。今持ってる金すら盗られたら正に無一文だ。
「知ってる」
またクリムさんが反応した。なんかこの人失礼だなさっきから!
「ちょっと、クリムさん煽るのやめてください。ちゃんと勧誘してくださいよ」
すると、今度はルネさんがクリムさんにそう言った。
それより、勧誘ってなんだろうか。もしかしたらこの人達、何かの宗教の信者かもしれない……。それならこの変な格好も納得がいく。
もし「あなたは神を信じますか?」みたいな事を言われたら即逃げよう。全力で。
クリムさんは、「ああ、そうだったな」と爽やかに笑い、僕に目を合わせた。
ゴク、と固唾を呑み込む。
「それじゃあ早速……
貴方は人殺しに興味はありますか?」
「いきなり何言ってんの!?」