第2章 非日常の始まり
……それより、いつからここに……。
無意識に後ずさりする。
一人は女性で、もう一人は男性。さっき僕に話しかけたのは女性の方みたいで、右手に赤いリンゴを持っている。二人とも、無地の黒いローブを着ていて……中々整った顔立ちだ。
――だがしかし、怪しすぎる。
女の人がニコリと微笑んだ。……少し、可愛い。
「私はルネと言います。こっちは……」
「エリザベスだ」
「クリムさんです」
ニコニコしながら話す……ルネさん。
そんな悠長に自己紹介されてもこっちが困る。
少しずつ後ろに下がると、同じ分だけ近づいてきた。
逃げるか……いや、でもこの先は確か行き止まり。どうする。