第2章 非日常の始まり
「――は?」
突然、横から女の人の声がした。
それは僕の独り言ではなく、完全に第三者の声。
びっくりして反射的に横を振り向く。
まず視界に映ったのは、真っ赤なトマト……
……ではなく、リンゴだった。
わけもわからずそこから目線を上にずらす。
そこには、さっきまで誰もいなかったはずの場所に人が二人立っていた。
「うわっ!!」
驚き立ち上がる。
用水路の縁に座ってたことを忘れていて、つい落ちそうになってしまったが、なんとか体制を立て直す。
「ちっ、惜しい」という声が二人組の後ろ方の人から聞こえたのは気のせいだろう。