第2章 非日常の始まり
「なんで僕、生きてるんだろ」
ほぼ無意識にそんな言葉が出る。
母親がドラッグの過剰摂取で死んだ時、僕は慌てもせず泣きもせず、ただボーッとその冷たい亡骸を見つめていた。
元々母親から優しい扱いを受けていたわけじゃないし、寧ろ除け者にされてた。
父親は僕が小さい頃に出て行ったみたいで、父親の記憶はない。
誰からも愛されてなければ、誰も愛してない。
考えるだけ、虚しい。
「……腹減ったな」
ボソリとそう呟く。
グゥ、と腹が鳴った。そういえば食べ物も食べてないんだっけな。
トマト、ひとつくらい手に持って走ればよかった。
「じゃあこれ、どうぞ」