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空よ、泣き止め(銀魂:高杉夢)

第1章 空よ、泣き止め


 そう、晋助の荷物は雨傘と三味線だけだった。信頼している部下に預けたとは言え、「侍の魂」である刀でさえ隠れ家としている宿に置いて来た。驚く部下の顔が未だ記憶に新しい。けれど、この昔なじみに会うには、刀を持ち歩くのはどうしても野暮な事に思えた。きっと後で「馬鹿な事をした」と己を笑うのだろうが、今はそんな事はどうでも良かった。

 己の三味線とバチを構えた晋助は、とは一味違う音色を奏で始めた。繊細で優美な音は先ほどのと同じく、「てるてる坊主」の旋律を紡ぐ。五度ほど同じ節を繰り返しただろうか。横で静かに聞き届けていたが三味線を構え直し、晋助の音に乗る。


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