第16章 【西谷 夕】俺が100歳になったら…
帰り道。
「あっ、朝の…」
自分のアパートまでの道に朝の彼が立っていた。
彼も私に気付いたようで、こっちに向かって大きく手を振っていた。
「朝は本当にごめんね?怪我なかった?」
心配する私に大丈夫ッスよ!と、笑顔を見せてくれた。
「俺も心配になって。ここにいれば会えるかなと思ってたんで良かったッス」
ニカっと笑う彼はとても可愛かった。
「あっ、私は佐藤ひろか。この近くに住んでる24歳だよ」
「俺は烏野高校2年の西谷夕。俺もこの近くに住んでます!」
(中学生じゃなかったんだ…って!!)
「えっ!?私も烏野だったんだよ!?
私達は意外な共通点で繋がっていた。
「家がこの辺ってことは…千鳥山?あそこバレー強いんだよね~」
「俺、バレー部ッスよ?中学も高校も」
「えぇーーー!」
私の驚き様に彼も動揺していた。
「私…烏野でバレー部のマネージャーだったの」
すごい偶然だと二人で笑った。
話が盛り上がって、私たちは近くの公園で話すことにした。
「西谷くんはポジションどこなの?」
「あっ、夕でいいッスよ」
「…じゃっ、じゃぁ、夕…くん…」
私がそう呼ぶと、彼はまたニカっと笑った。
「俺はリベロです。最高にかっこいいポジション!」
そうやって楽しそうに話す夕くんはとてもキラキラしていた。
あれからどれくらい話していたんだろう。
外も暗くなって、夕くんは私をアパートまで送ってくれた。
「はぁ…高校生かぁ…」
私は久しぶりに出してきた、高校時代の写真を眺めながら
その日はいつの間にか眠ってしまった。