第99章 【東峰 旭】U&I
旭side
「はぁぁぁぁぁ・・・・」
部活の休憩中、騒がしくはしゃいでいる1年の西谷や田中をボーっと見ていた。
「東峰、何そのため息・・」
声のする方を見ると、清水がスポドリを手渡してくれた。
「あぁ、清水。ありがとう」
俺はスポドリを受け取って、それに口を付けることなくまた大きくため息をついた。
「・・大丈夫?」
清水は心配してくれているのか、隣にゆっくりと腰掛けた。
「・・なぁ、清水。年下の男って・・なし?」
「は?・・年下ってどれくらい?」
「・・7歳下」
清水は一度大きく目を開いた後に考え込むように顎に手を当てた。
「私が小学5年生と付き合えるかってこと?・・ありえない」
改めて7歳差の現実を突きつけられて、俺は再び大きくため息をついた。
「だよな。・・ありえないよなー・・ハハ」
自分の質問がバカバカしくなって笑うしかなくなる。
実際に、自分が小学5年生に告白されたって困ってしまうように、ひろかさんにとって俺はそういう存在ということだ。
結婚を視野に入れているひろかさん。
まだ法律上結婚することも出来ない自分。
仕事をバリバリこなすひろかさん。
アルバイトすらしたことの無い自分。
いくら外見を大人っぽくしたとしても、俺はただの高校2年生。
あの人みたいに指輪を買ってプロポーズすることも出来ない。
土俵にすら上がれない無力な自分に、また大きなため息をついた。
あれから数週間、一度もひろかさんと連絡を取っていない。
・・いや、怖くて連絡を取れないでいた。