第99章 【東峰 旭】U&I
「もし、ひろかさんが俺を利用したとしても・・ひろかさんが俺の事を本当に好きで付き合ってくれていなかったとしても・・俺が・・俺がひろかさんを好きだから・・だから一緒にいてくれるだけで十分です。・・俺は年下だし、頼りないかもしれないけど、あなたみたいにひろかさんを裏切ったりしない!絶対に!!」
いつもは少し頼りなさそうで可愛げのある旭くんが、鳥肌が立つくらいの険しい表情をしていた。
「ひろかさんは優しい人です。俺が前に告白した時も思わせぶりな事をしたくないとハッキリ断ってくれた。裏切ったあなたの事を責める事もしないで自分が至らなかったと自分を責めてた。俺はひろかさんを傷つけたあなたを許さない。俺なら絶対にひろかさんを傷つけたりしない!」
旭くんの言葉に彼は旭くんの胸ぐらを掴んだ。しかし、旭くんは少しも怯むことなく彼をジッと見つめた。そんな旭くんを彼が今にも殴りかかりそうになったので私は咄嗟に声を上げた。
「やめて!!・・旭くんとは付き合ってないの!フリをしてもらっていただけ!・・だから、やめて・・!」
そう言うと彼は旭くんを離して再び私の腕を引いた。私を自分の前に引き寄せ、カバンの中から小さな箱を取り出した。
「結婚しよう、ひろか。・・これ受け取って欲しい」
小さな箱から出てきたのは、キラッと光り輝くダイヤの指輪だった。
私はハッとして旭くんの方を見ると、旭くんは眉を下げて笑っていた。
「旭くん・・ごめんなさい。今日は帰って・・」
私がそう言うと旭くんは目を合わせずに頭を下げてから背を向けて帰って行った。