第99章 【東峰 旭】U&I
「旭くん、最近大人っぽくなったね?」
私がそう言うと伸ばし始めたヒゲを触り、そうですか?と照れ笑いする旭くん。
元々身長も高いし、制服を着ていなかったら大学生くらいに間違われそうな外見になっていた。
「好きな・・」
「ん?」
「好きな人に・・少しでも近づきたくて。・・なんて」
ハハと笑って顔を真っ赤にする旭くんを見て、私もついつい笑ってしまう。
「本当にその人の事が好きなんだ。・・ねぇ、どんな子なの?旭くんの好きな人って」
私がそう問い、ふと前を向くとそこには元恋人の彼が立っていた。
彼は驚いた表情を見せながら、私たちの方へ向かってきた。
「ひろか、お前・・。付き合ってる相手って・・高校生なのか?」
以前、彼と会った時の旭くんは、黒無地のジャージにTシャツだったため高校生だとは思っていなかったようだ。
・・いや。24歳の私が7歳も年下の高校生と付き合うだなんて思いもしないだろう。
実際、彼は信じられないという顔で私の肩に両手を置いて強く握った。
「ひろか・・。俺が悪かった。高校生とか冗談だろ?・・やっぱり俺へのあてつけなんだろ?お前には俺しかいないだろ?・・な?」
そう言うと彼はギロっと旭くんに目線を向けた。
「君も分かるだろ?こいつは・・ひろかは俺に裏切られた腹いせに君と付き合ってるだけなんだ。君は利用されただけなんだよ」
「違う・・違うの!旭くんは・・!」
私が彼の手を振り払おうとした時、旭くんが私と彼の間に入って私をかばうように立った。