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【★ハイキュー!!★】短編集

第13章 【月島 蛍】あの人は…


次の日、僕は3年生の教室の階にいた。
あの人のクラスが何組なのか知らない。

「……月島くん?どうしたの?」

背後からあの人の声がした。

「…これ、インディーズ時代のCD」

僕が差し出したCDを見て、
あの人はすごくびっくりしている様子だった。

「もしかしてGXの?私これ探しても探しても見つからなくて…」

たまたま掃除をしてたら見つけたから…
とらしくない嘘をついた。

「ありがとー!あぁー!早く聴きたい!待ちきれないー」

期待に胸を膨らませて
無邪気にはしゃぐこの人を
僕はすごく愛おしく感じる。

「聴きますか?」

僕がヘッドフォンを差し出すと
おあずけを解かれた子犬のような顔をしていた。

「わぁー、やっぱいいねー!
しかも修正されてない感じがまたいいー」

ね!と笑って僕を見上げたかと思ったら
すぐに目線を外して、真剣に曲を聴き始めたり。
この人の行動一つ一つに僕の口元が緩んでしまう。



「あれ?月島??」

聞き慣れた声に緩んだ口元を戻す。

「3年の教室に来るなんて珍しいな!」

そこにいたのは、キャプテンと菅原さんと東峰さんだった。

「ひろかもいるー」

「この組み合わせなんか珍しいな」

1番見られたくない人達に見られた。

「月島くんに無理言って、
私が聴きたかったCDを持って来てもらったの!」

へぇー、どんなやつ?
と3人が群がってくる。

別に頼まれて持ってきたわけじゃない。
勝手に持ってきただけ。
なのに、あの人はそう言った。

「聴いたことないなー、有名?」

「月島ってこういう音楽好きなんだー」

菅原さんと東峰さんがヘッドフォンに耳を傾けていた。

「大地!これ前に探しても見つからなかったCD!
月島くんには感謝だよー」

そう言って、あの人はキャプテンにCDを見せびらかした。

「えっと、なんだっけ?えっと…んーと。」

「もう!GXだよー」

ぷくっと頬を膨らませて拗ねた。
かと思ったら、ニカっと笑った。
本当、忙しい人だ。

するとキャプテンが僕の隣に来て
そっと耳打ちした。

「すまん。俺、こういうの疎くてさ。
もし迷惑じゃなければ、話し相手になってやってくれよ」

申し訳なさそうな顔をするキャプテンに、はぁ…と目線を逸らした。

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