第13章 【月島 蛍】あの人は…
「「おつかれっしたー」」
部活が終わって、部室を出ると
下であの人の声が聞こえた。
「月島くん、お疲れ様」
2階を見上げてヒラヒラと手を振るあの人を
今すぐ自分の中にしまい込んでしまいたくなる。
「ひろか、悪い。遅くなった」
キャプテンが部室の鍵を閉めて、
僕たちを追い越し、階段を駆け下りる。
「待ってないよ。今来たところ」
そう言ってあの人は
口元で暖めていた手を隠していた。
2人はそのまま歩き出す。
キャプテンは僕の知らない
あの人の色んな表情や仕草を知っているんだ。
あの人はキャプテンの恋人。
The End