第99章 【東峰 旭】U&I
「じゃぁ、かんぱーい!」
ひろかさんはグビグビと音を立てながらビールを飲み干すと、美味しい~と本当に幸せそうに笑うので、俺もおかしくなって一緒に笑った。
それを見たひろかさんは少し恥ずかしそうにはにかんだ。
「これ・・うまい!!」
「でしょ?絶品なんだよ、ここ」
美味しくてボリュームもたっぷりな食事。
今度大地達にも教えてあげようと、また大きく一口頬張った。
「良かったら、これもどう?」
そう言ってひろかさんは自分のチャーハンとレンゲを一緒に渡してきた。
「あっ・・いただだきます」
香ばしい匂いが食欲をそそる。
ただ、チャーハンと一緒に渡されたレンゲ。これを使っていい物なのか。それとも自分の箸で頂くべきなのか。そんな事を悩んでいるとひろかさんが不思議そうにこっちを見た。
「いっ、いただきます!」
思い切ってレンゲを持ち、チャーハンを口へ運んだ。
恐る恐るひろかさんを見るとニコニコしながら、どう?美味しいでしょ?と、レンゲの事に関しては何も感じていないようだった。
「おっ、美味しいです。友達にも教えたいくらい」
そう言ってチャーハンをひろかさんに戻すと、ひろかさんは躊躇なくそのレンゲでチャーハンを自分の口へ運んでいた。
たかが間接キスくらいでこんなにもドキドキしてしまう自分が情けなくて、小さくため息をついた。