第99章 【東峰 旭】U&I
ひろかさんとは時々メールを送ったりもするけど、いつも自分から始まってひろかさんから返信が来なくなって自然と終わる。それでも何か話題を見つけては連絡を続けた。
「まずは意識してもらうために気持ち伝えたら?」
「・・えっ!?そっ、そんな無理!無理だよ!」
「だからお前はへなちょこなんだよ」
スガの助言に俺が慌てて首を振ると、大地はチラッと俺を見て吐き捨てるよう言った。スガは落ち込んだ俺の肩に手を置いてドンマイと言わんばかりに微笑みかけた。
「その髪だってヒゲだって、年上のひろかさんに少しでも近づける様に背伸びしてんだろ?」
そう言って先に坂ノ下商店に入って行った大地を追ってスガも店内に入って行った。
俺も後に続き、空いた腹を満たす物を物色しながら昨夜最後に送ったメールの画面を見て大きく息を吐いた。
正直相手にされていないことくらい分かっている。きっとひろかさんは俺を弟くらいにしか思っていない。
そんな事を考えていると、タイミングよくひろかさんからメールが来た。ひろかさんの方からメールが来ることなんて珍しいから、携帯を握る手に力が入ってしまう。
スーパーで見つけた。という短文と、以前ひろかさんが好きだと言っていたチョコメロンパンの画像。
たったこれだけのメールで声にならないほど嬉しい。
〝まずは意識してもらうために気持ち伝えたら?〟
さっきスガが言っていた言葉が頭に過った。
伝えるなら今しかない。
いつも弱腰な自分がそう思えたのは、ひろかさんの方からメールが来たという、たったそれだけの理由だった。
いきなり伝えるのもおかしいと思った俺は、今部活帰りです。と坂ノ下商店で買い物をするみんなの写真を隠し撮りして添付した。
するとすぐに、彼女?とそれだけが返ってきた。
一瞬意味が分からなかったが添付した画像を見直すと写真の中に清水が映っていて、きっと清水のことを言っているのだろうとそう思った。
清水はマネージャーだと伝えると、
キレイな子だね~。きっとマドンナでしょ?・・もしかして旭くんも好きだったりするの~?と、今の俺にとって一番欲しい返事が返ってきた。
緊張して手が震える。