第99章 【東峰 旭】U&I
「わぁー、やっぱかっけぇ!」
「確かに!これで俺らと同い年とかビビるわ!」
あれから数日経ったある日の昼休み。
教室でクラスメイト達が盛り上がっているのを見つけて覗いてみると、ハリウッドスターの記事が載った雑誌を開いていた。
雑誌に載っていた彼は同じ17歳なのに大人っぽくワイルドで、男の俺から見ても頼りになりそうなカッコイイ男だった。20代から30代の年上の女性からの支持が多いと書かれていて思わずその雑誌を借りて目を通す。
「東峰?なに、お前その俳優好きなの?」
「俺達もう読んだから欲しいならやるけど?」
俺はその雑誌を持って自分の席に戻った。
「ワイルド・・か」
「おい、東峰。・・寝坊か?」
「・・へ?」
「お前、ヒゲ剃り忘れてっぞ?」
「黒川さん・・、あっ、いやぁ・・はは」
翌日から雑誌で見たハリウッドスターのようにヒゲを伸ばし始めた。
少しでも大人っぽく男らしくワイルドに見えるんじゃないか・・なんて馬鹿な事を考えた。
スガ達にもクラスメイトにも初めは弄られたけど止めることはしなかった。
毎日毎日鏡を見てだんだん見慣れてきたヒゲを触る。髪だって少し伸ばして中途半端な襟足をゴムで縛る。そんな日が続くと周りから少し大人っぽく見えるなんて言われるようになって少し調子に乗った。