第97章 【京谷 賢太郎】それはきっと空のせい
文化祭が終わり委員会がなくなってからは、今までよりも佐藤と一緒にいる時間が少なくなった。
廊下で会えば声をかけてくるが、一緒に帰ったりすることはもちろんなかった。
「なぁ、お前何組?」
「えーっと・・1組!お前は?」
「俺も1組!一緒じゃん!」
2年にあがり、クラス替えの張り紙が廊下に張り出されていた。お互いのクラスを確認し合う声が周りから聞こえてくる。
俺は自分の名前を見つけたが、すぐにその場を離れなかった。
同じクラスの奴が誰かなんて興味がない。なのに、自分のクラス全員に目を通した。
「あぁー!またみんな同じクラスだよ!」
近くで聞き覚えのある声が聞こえて横を見ると、少し先で佐藤が掲示板を見ていた。
「あっ、京谷!おはよー。同じクラスにならなかったね。残念」
「・・俺はてめぇと一緒のクラスになりたくねぇーよ」
「アハハ!ひどいな~。・・じゃぁ、行くね!バイバイ、京谷」
俺に手を振った後、一緒にいた女子の元へ戻る佐藤。
俺は掲示板に書かれている「佐藤ひろか」の文字を探してから自分の教室に向かった。
「なぁ、京谷。・・佐藤と仲いいの?」
「・・は?」
「いや、1年の時から違うクラスなのに結構しゃべってんじゃん!」
体育は2つの組合同で行う。うちのクラスは5組と一緒だったため、体育館の半面でバスケをやっている女子の中に佐藤もいた。
「佐藤って可愛いよな~。明るくて、いっつも笑っててさ~」
「分かる、分かる。あいつって絶対人のこと悪く言わねーしな」
「けど、何で彼氏作んねーのかな?・・京谷はどう思う?」
「・・興味ねーよ」
シュートを決めて嬉しそうにハイタッチしている佐藤。またいつものようにヘラヘラ笑っていた。
こんな奴のどこがいいのか。まぁ、俺には関係ねぇけど。
ピーっと笛が鳴り、俺は佐藤の噂話をしている奴らを置いてステージを下りた。