第97章 【京谷 賢太郎】それはきっと空のせい
校舎を出ると数名のジャージを着た集団が笑い合いながら話をしていた。
「・・ひろか?」
「矢巾!部活終わったの?お疲れ~」
「お前は委員会か。・・って、なんでお前ら一緒にいんの?」
矢巾を俺と佐藤を指差して目を見開いた。
「京谷も実行委員だもん。あっ、渡もお疲れ~」
佐藤は近くにいたバレー部達に労いの声をかけ世間話を始めた。すると矢巾が佐藤の腕を掴んでグッと引き寄せた。
「ひろか、送ってく。一緒に帰るぞ」
「・・へ?でも、京谷に送ってもらう約束してて・・」
佐藤は俺の方を見て、少し困ったような表情を見せた。
「京谷は方向違うだろ。俺達家近いんだし。・・いいよな、京谷」
俺に敵対心を向けてきた矢巾に俺はギロっと睨み返した。
イライラする。
こっちだって好きで佐藤を送ってるわけではない。
なのに、自分の女を横取りされたかのような顔をしやがる。
「っんだ、てめぇ。てめぇの女なら首に縄付けとけ!」
俺は一度矢巾の胸ぐらを掴んで睨み付け、すぐにその場を去った。