第97章 【京谷 賢太郎】それはきっと空のせい
無事委員会が終わり荷物を持って教室を出ようとした時、岩泉さんから声がかかった。
「おい、京谷!」
「・・ウス」
「お前、佐藤の仕事手伝え!」
岩泉さんが俺を呼びとめて、佐藤がまとめている書類を指差してそう言った。
「あっ、岩泉さん!大丈夫です!一人で出来ますから!」
「・・なら、帰り送って行け。お前今日も部活来ない気だろ?」
「・・・」
俺が持っていたスポーツバックを床に置いて近くの席に座ると、その様子を見て岩泉さんは教室を出て行った。
「京谷?・・帰ってもいいよ?」
「うっせぇ。いいから早くしろ」
「・・ふふ。ありがとう」
「・・・ちっ」
無駄口を叩いていたのはその時だけで、その後は黙々と作業を進めていた。
出来た!と書類を机の上でトントンと整えた後に、クリアファイルに収納させた。
「京谷、お待たせ。帰ろうか!」
提出書類を生徒会室に出した後に、俺たちは玄関に向かった。
外はすでに真っ暗になっていて、秋の冷たい風が強く吹く。
「寒いね。あっ、お腹も空いたしコンビニ寄らない?」
確かに腹は減った。
俺は佐藤と共にコンビニに入り、いつも通りハミチキを買った。
コンビニを出ると冷たい風が吹いてぶるっと身体が震え、暖かいハミチキからは白い湯気が出ていた。