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【★ハイキュー!!★】短編集

第96章 【花巻貴大/コラボ企画】kiss with you



翌日

「あっ、花巻先輩いるよ!」

友人の声に反応して外を見ると、そこには花巻先輩と数人の男女がいた。

「あれ?ネイルの色変えたの?」

「良く分かったね!新色なの!」

「へぇ、似合ってんじゃん」

花巻先輩は一人の女の先輩の手を取って、ネイルを眺めていた。

今までと何も変わらないのに、どうしてズキンと胸が痛むのだろうか。
前なら友人達とワイワイしている花巻先輩を見ることが出来て幸せ!と思っていたのに。

「本当だ。行こう?」

「えっ、声かけなくていいの?」

「うん」

私はすぐにその場を去った。





「花~。それ一口ちょうだい!」

次の月曜日、私は委員会の仕事を早々に終わらせて花巻先輩の教室に向かった。教室には何人か残っていて、花巻先輩の声も聞こえてきた。

「ん!俺にもそれ一口!」

「ちょっと!食べ過ぎー!!」

「お前も俺のメロンパン食っただろ!」

花巻先輩は女の先輩の手首を掴みながら、持っていたシュークリームを一口食べて、口の周りについてクリームをぺろっと舐めていた。
そんな花巻先輩を見て、また心がモヤモヤする。

「おう、早かったな!行くか!」

その後、廊下にいた私に気がついて花巻先輩はカバンを持って教室を出てきた。
クラスメイト達に手を振って廊下を歩き出す。
そして、私はその半歩後を歩く。
花巻先輩の右手はカバンを持って、左手は空いている。
けど、その空間に私の右手が収まることはない。

花巻先輩に触れて欲しい。
花巻先輩の体温を感じたいし、自分とは違う身体の大きさを知りたい。
前までは見てるだけでよかった。私が一方的に好きでいいと思っていた。
なのに今は、花巻先輩にも好きだと思ってもらいたいし、私に触れたいと思ってほしい。どんどん欲張りになっていく自分が嫌になる。

そんな事を思うと、虚しくて涙がこぼれてきた。


「今日さ、見たい店あるんだけど付き合っ・・ひろか?」

「どうして・・ですか?」

「・・へ?」

「どうして私には触れてくれないんですか?」

ポロポロと涙がこぼれてきて、うっ、うっ、と息がつまり、呼吸が苦しくなる。

「落ち着けって。ゆっくり息吸って。・・ゆっくり吐け。・・な?」

花巻先輩は私の背中を擦ってそう声掛けをした。
懐かしく感じるこの感覚。初めて花巻先輩と話した体育祭の時みたいだ。
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