第95章 【矢巾/京谷】ほっとけない友人達
翌日、朝目覚めると昨日泣き腫らした目が腫れていた。
どんなにメイクを頑張ったって隠し切れない。
学校についても教室に向かうことが出来なくて、屋上へ向かった。
「・・京谷?」
「・・おう」
屋上には先客がいて、戻ろうかと思ったけど私はそのまま足を進めた。
「ねぇ、京谷?少しここにいてもいい?」
「ぁん?ダメだって言ってもいる気だろーが」
「ふふ。そうなんだけどね」
私は京谷の横に体育座りをして顔を伏せた。
腫れた目を隠したかったから。
京谷は特に何も話はしなかったけど、ハミチキを食べ終わってからもずっとそこにいた。
キーンコーンカーンコーン
「・・戻らねーのか?」
チャイムが鳴っても腰を上げない私に、京谷は空を見つめながら私に問いかけた。
「私には・・居場所がないから・・」
「は?・・クラスの人気者が何言ってやがる!」
京谷はそう言って、ゴロンと仰向けになった。
私は顔を伏せたまま、ゆっくりと口を開いた。
「矢巾とね、理香が付き合うことになったんだ。だから私邪魔者なんだ。大好きな二人が付き合うなんて本当は嬉しい事なのに、大好きな二人を同時に取られちゃったみたいで苦しい。私って本当最低・・」
ぽたぽたと制服を濡らす涙の跡がどんどん大きくなっていった。
矢巾の気持ちに気付いていたのに協力しなかったのは、きっと理香に矢巾を取られたくなかったから。理香と先輩との仲を協力したのは矢巾に理香を取られたくなかったから。
ほっとけないと世話を焼いていたはずなのに、本当は私がその存在に支えられていたんだ。
「最低だな、お前・・」
京谷はそう言って立ち上がり、屋上を去って行った。
「逆の立場だったら、お前もあいつ等を邪魔だって思うってことだろ?」
最後の残した京谷の言葉が胸の奥深くに突き刺さった。