• テキストサイズ

【★ハイキュー!!★】短編集

第95章 【矢巾/京谷】ほっとけない友人達


「おい、矢巾。部室棟の近くでいつもお前とつるんでる女子が立ってたぞ?」

「えっ・・!?いつもつるんでる女子・・?あっ・・・!!」

ガタンと部室から音がしたと思ったら、矢巾が慌てて着替え終わったジャージをバッグに詰めながら階段を下りてきた。

「・・ひろか?」

「何よ、その顔~。理香じゃなくてスイマセンでしたね~」

私がそう笑って舌を出すと、矢巾は口を尖らせて、別に。と拗ねた。






「聞いたんだろ?あいつから・・」

「うん」

帰り道、私たちは家の近くの公園に立ち寄った。

「好きだって言った。そしたら、すげぇ困った顔してた。俺の事そんな風に考えたことないって。ハハ・・。分かってたんだけどな、あいつが俺の事そんな風に思ってないことくらい。困らせたかったわけじゃない・・」

「そっか。でも、今までの関係がダメになる覚悟で好きって伝えたんでしょ?すごいじゃん。私なら・・怖くて出来ないや・・」

私はミルクティーを一口飲んで矢巾の顔を覗き込んだ。

「矢巾、カッコイイじゃん。全然ヘタレじゃない」

私がそう言って笑うと、矢巾も笑った。

「なんかさ、俺この場所でお前にフラれた報告するの2度目じゃね?なんかひろかにはいつもかっこ悪いとこばっか見せてんな」

矢巾はグーッと背伸びをして、ハァーと大きく息を吐いた。

「俺、中学の時お前のこと少し気になってた時期あってさ。でもあの時はまだ恋に恋してた感じで、元カノから告られて、お前も俺の事好きじゃなさそうだったし諦めた。でも今、諦めてよかったと思った」

「え?」

「お前とは今までの関係をダメに出来ない。なんていうか、彼女にするのはもったいないみたいな。彼女とは終わる日が来るかもしれねーけど、友達は一生もんだろ?俺、お前がいなければ恋も部活もうまくいかねーかも」

なーんてな。と照れ笑いする矢巾。
私は喉の奥がきゅーっと締め付けられて、涙が出てくるのを必死に押えた。

「こんな世話の焼ける奴、一生付き合わされる身にもなってよね」

私達はまた一緒に笑った。

/ 700ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp