第95章 【矢巾/京谷】ほっとけない友人達
ピアノのレッスンが終わり、スマホを開くと理香から会いたいと連絡が着ていた。私はすぐに指定されたお店に行くと、理香は深刻そうな顔をしていた。
「矢巾に・・矢巾がさ・・」
「何?告られた?」
理香はゲホゲホとむせ始め、私はやっぱりな。とカフェオレを口に含んだ。
告るの遅いよ、バーカ。と心の中で思いながらも、なんだかちょっぴり胸が痛かった。
理香はいきなりの告白に動揺しすぎて、矢巾の告白は冗談だよね?と私に同意を求めた。
「矢巾は・・あいつはチャラい所あるけど、本当は真面目で面倒見が良くて、それで・・それで・・優しい奴だよ?合コンをセッティングしたのだって、面倒見が良すぎるだけ。矢巾が頑張ってした告白を冗談だって片付けて欲しくない!」
どうして矢巾の事になるといつも涙が出てくるんだろう。
矢巾のいい所は私が一番良く知ってる。
矢巾は本当にバカだけど、けど・・本当にいい奴。
私のほっとけない大好きな友達だもん。
「ごっ、ごめん。矢巾とは私なんかよりずっと前から友達だもんね。ごめ・・」
「そして、理香は私の大事な親友。可愛くて素直でいつも一生懸命なすごくいい子。だから、私の親友の理香のこと、『私なんか』って言わないで!」
そして、理香は私にないものをたくさん持っていた。
プライドだけ高い私と違って、いつも自分の気持ちに素直でキラキラしていた。
私にとっては理香が太陽で私が月だった。
理香は気付いていなかったけど、矢巾と話す時の理香はいつも楽しそうだったし、理香が素を見せられる矢巾は特別な存在だってこと、私はずっと前から気付いていたんだ。