第95章 【矢巾/京谷】ほっとけない友人達
そんなある日の事。
「ねぇ、ひろか。私ね・・恋したいの!!」
急に理香からそんな事を切り出された。
「えっ・・好きな人いるの?」
「ううん!だから好きな人が欲しいの!!」
目をキラキラさせながらそう言う理香。
理香は素直な可愛い子。
人見知りは激しいけれど、慣れてしまえば人懐っこくて、ちょっぴり危なっかしいからほっておけない、そんな女の子。
話を聞けば、中学時代から憧れてた先輩はいたものの、話しかける勇気もなく3年間を終えたらしい。
まぁ、私からしてみれば完全に恋に恋してるって感じではあったけど、それでも人を好きになるきっかけになるのなら問題ないと思った。
「そう言えば、別の高校に行った友達に女の子紹介してほしいって言われたんだけど、理香連絡取ってみない?」
「・・うん!緊張するけど、頑張る!!」
「はっ!?他校生の男子と連絡取ってる!?」
翌日、矢巾にも理香の恋の応援をしてほしいとお願いした。
けど矢巾の表情は明らかに曇っていた。
そして、明らかに動揺もしていた。
理香は全然気がついていなかったけど、私にはすぐわかった。
矢巾は理香の事が好きなんだって。
それでも、しばらくは気付かないフリをした。
第三者が口を出すことではないと思ったから。
けど、あの時はさすがに私も口を出さずにはいられなかった。
「・・あんた、バカじゃない?何で好きな女の彼氏探し手伝ってんのよ」
矢巾が理香に頼まれて合コンをセッティングしたからだ。
「べっ、別に俺、あいつのこと好きじゃないし・・」
「ふ~ん。まぁ、いいけど・・」
明らかに理香の事が好きなのに、矢巾はまだ認めていなかった。
面倒見のいい矢巾らしいけど、お人よしというかなんと言うか・・。
本当、ほっとけない。