第95章 【矢巾/京谷】ほっとけない友人達
そして高校へ進学した。
中学とは違って知らない顔がたくさんいた。
「ひろか!また同じクラス!!」
「矢巾・・中学3年間も同じで高校まで同じって、なんか呪われてる気がするよ・・」
「ヒドイな、おい!」
教室で早速笑い合っていると、クラスメイト達が少しずつ増えてきた。
初めての顔にお互い自己紹介をした。
あっという間にクラスに打ち解けて、友達もたくさん出来た。
「へぇ、理香も同じ中学出身者いないんだ!私もなんだよね~。あっ、男子はいるよ!矢巾って言うんだけど・・。おーい、矢巾~!」
彼女は私の前の席で、お互い同じ中学出身の女子がいなかったことから共に行動することが多くなっていた。
理香はとても人見知りで、初めのうちは「うん」しか言わなかった。けど、根気よく話をしていると少しずつ自分の事を話してくれるようになった。
「なに?どーした?」
「あっ、紹介するね。こいつが同中の矢巾。チャラいから気を付けて!」
「おい、どんな紹介だよ!」
私たちは笑い合ってると、理香は固まって下を向いてしまった。
「あぁ・・この子は理香。ちょっと人見知りなだけ」
「そっか。よろしく~」
そう言って手を差し出した矢巾に恐る恐る握手を交わした理香は私の方をチラチラ見ていた。
「大丈夫。矢巾はチャラいけど結構ヘタレだから手出して来たりしないから!これでも彼女いるし!」
「誰がヘタレだっ!!しかもこれでもってなんだよ!!」
また私達が笑っていると、理香もくすくすと笑い始めた。
そして高校1年の夏の日。
ピロン
家に帰ってスマホを開くと、矢巾から今から会えないかと連絡が来た。
私はすぐに着替えをして、指定された近所の公園へ向かった。
「どうかしたの?」
その場所にはすでに矢巾が居て、ベンチに腰掛け膝に肘をついた状態で俯いていた。