第11章 【澤村 大地】彼は天然魔性
次の日、オリエンテーションが行われて、
他のクラスとの交流の機会が出来た。
「ひろか―。澤村のとこ行って来たら?」
昨日の今日で、周りの友達は私を茶化した。
澤村くんのクラスの方へ向かうと、
そこには女の子と話してる澤村くんがいた。
「あれは確か…道宮さん」
女子バレー部の子だった気がする。
2人は仲良さそうに話をしていた。
「…あっ、佐藤!」
私に気がついた澤村くんが、私を手招きしていた。
道宮さんと目が合って、ニコっと笑う彼女に、私は精一杯の笑顔を作った。
「佐藤、こいつは道宮。同じ中学出身で、同じバレー部だったんだ」
その後3人で話をしていたけど、昨日澤村くんから聞いた中学の時の話なんかより
ずっと濃い話を繰り広げる2人の中にいると、疎外感しか感じられなかった。
「本当、道宮はしょうがないな。しっかりしろよ」
何の話だっただろうか。私には会話の内容が途中から入っていなかった。
けど、澤村くんが道宮さんの頭の上に大きな掌をポンポンと上下に動かしていた。
昨日の幸せな思い出が、一気に崩れ落ちた。
私だけじゃないんだ。
そう思うと涙が溢れてきた。
「・・・佐藤?どうした?」
心配そうに私を見る澤村くんに背を向けて
私は自分のクラスの方へ戻った。