第88章 【青根 高伸】私の彼を紹介します。
「ふふふ。青根くんとパンケーキ…。ふふふふ、アハハハハ」
数日後、青根くんの部活が午前中に終わる日に合わせて、以前友人に連れて行ってもらったパンケーキ屋さんに行った。
女の子ばっかりの店内に190センチ以上の強面の青根くん。
不似合すぎて面白い。
青根くんはそわそわしていて、メニューで顔を隠していた。
「ここのパンケーキ美味しいんだよ!おススメは・・・これ!」
私がメニューの写真に指差すと、顔の前のメニューからヒョコッと顔を出した。
写真を見ると、青根くんの顔がぱぁっと明るくなった。
「餡子好き?」
「・・・(コクン)」
「私も好き!」
私がそう言うと、青根くんの顔が一気に赤くなった。
相当餡子が好きみたい。
私は店員さんを呼んで、餡子が乗ったパンケーキと、苺のパンケーキを注文した。
運ばれてきたパンケーキを美味しそうに頬張る青根くん。
眉間にシワは寄っているけど、幸せそうな顔をしている。
初めは無表情な人だと思っていたけど、実は結構表情が変わるんだ。
彼の分かりづらい表現を見破れた時は、クイズ番組で誰よりも早く解答を言えた時くらいの感動がある。
こないだのお礼もかねて私が会計を済ませ、駅へ向かった。
「今日は付き合ってくれてありがとう」
私は青根くんに手を振って改札をくぐった。