第88章 【青根 高伸】私の彼を紹介します。
ハンカチを返した日、私たちは連絡先を交換した。
家に帰って初めてのメールをする。
なんだかすごく緊張してしまう。おかしくないかな?と何度も何度も読み返して、やっと送信ボタンを押した。
数分後、返信が返ってきた。
「・・・ぶっ!なにこれ!」
あの厳つい顔の青根くんからのメールとは思えないほど可愛いメール。くまさんの絵文字がたくさん使われていた。
「ふふふ。可愛いなぁ…」
それから私は誰にメールをするのにも、くまさんの絵文字を使うようになった。一番のお気に入りの絵文字になったのだ。
「何、ニヤニヤしてんのよ~」
学校で青根くんからのメールを見ていると、クラスメイトから声をかけられた。
私が青根くんの話をすると、友人はとっても驚いて勢いよく私の席の前に座った。
「あんた、絵文字使う男の人苦手って言ってなかった?それに、もう男は当分いいって言ってたじゃん」
「違うよ!青根くんは友達だもん!それに…青根くんはいいの。絵文字使っても!」
なにそれ。と呆れたように笑う友人。
私はまた青根くんのメールを見て、ふふふと笑った。
そう言えば初めて会った時も、ハンカチを返した時も、今日だって。
私は青根くんに微笑ませてもらってばっかりだな。
私はすぐにメールを打った。
「青根くんは甘いもの好きですか?」