第82章 【東峰 旭】厚かましいお願いですが、宜しくお願いします。
私は室内に入って、今度はお守りの在庫をチェックする。
室内と言っても、参拝者が外からお守りを選べるように扉が開いているので寒さはそんなに変わらない。
私が乱れていたお守りをきれいに並べていると、旭くんがずっとお守りを見つめていた。
「いろんな色あるんだ…」
そう言って、桃色のお守りを手に取った。
「清水はこれかな…」
「・・・彼女?」
「えっ!?違います、違います!部活のマネージャーの子です」
彼の話によると、彼はバレー部に所属していて、同じ3年生の大地くんとスガくんと清水さんは進学するとのこと。毎日その3人のために神社でお参りをいていると。
「仲いいんだね」
「はい。大事な仲間です」
にっこり笑ってお守りを手に取る彼。
こっちまで笑顔になってしまう。
「あっ・・・」
さっきまでにこやかだった彼の表情が少し強張った。
お財布を開き、ため息をついてパタンと閉じる。
「毎日お賽銭入れてたから足りない・・・」
ガクっと肩を落として落ち込む彼を見て、私はついつい笑ってしまった。
「ねぇ、旭くん。年末年始って暇?うち、バイト探してるんだけど…」
「・・・バイト!?」
「31日の夜から1日のお昼までなんだけど」
さっきまで落ち込んでいた旭くんの顔がパーッと明るくなった。