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【★ハイキュー!!★】短編集

第9章 【月島 蛍】兄貴はずるい


「ツッキー!ご飯食べよっ!」

いつものように山口が僕の元へやってきた。

「明光くん、今日帰っちゃうんでしょ?寂しくなるね」

兄貴は周りからいつも慕われていた。
いつも笑っていて、誰にでも優しかった。
友達もいっぱいいた。
僕に無いものを何でも持っていた。








「「おつかれっしたー」」

部室で着替える俺の横で、山口が携帯を見て大声を出していた。

「ツッキー!明光くん、7時発の電車で帰っちゃうの!?
早く行かないと間に合わないよ!?いいの?」

兄貴からのメールなのか。山口は僕を急かした。

「いいよ、別に」

そう言った僕の胸ぐらを掴んで山口が怒鳴った。

「良くないよ!ツッキーわかってる?今どんな顔しているか。
いつもみたいに、余裕な表情で笑ってよ!
そんな…そんな泣きそうな顔しないでよ!」

そう言って、山口は僕の荷物を部室の外に投げやり、
僕も外に追い出された。


「ハハ…かっこわる」


僕は荷物を抱えて駅までの道を走った。
部活でもこんな全力で走ったことがあっただろうか。
苦しい。けど、それよりも苦しいことがある。
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