• テキストサイズ

【★ハイキュー!!★】短編集

第9章 【月島 蛍】兄貴はずるい


あの日から、ひろかは僕の事を避けていた。


明日は兄貴が仙台に戻る日。
ひろかが兄貴の部屋にいるのは気付いていたけど、
俺はヘッドフォンをつけて、大音量で音楽を聴いていた。







「のど乾いた…」







両親ももう寝ていて、冷蔵庫に入った水のボトルを持って部屋へ戻ろうと
リビングのドアノブに手をかけた時、
玄関フロアから兄貴達の声が聞こえてきた。


「あき兄…帰らないでよ…。あき兄がいないと私…」


「泣くなよ~。大丈夫。いつでも電話していいから…な?」


兄貴はひろかをなだめて見送っていた。


ガチャン。
玄関の鍵の音がした。



ひろかは帰ったのだろう。
息を殺していた僕に兄貴は声を掛けた。

「…蛍?いるんでしょ?」

僕はゆっくりとリビングから兄貴のいる玄関フロアに出た。

「俺、ひろかに告白したから。
返事は明日の見送りの時にしてもらう」

「…、あっそう…」

僕には関係ない。そう言って部屋へ戻ろうとする僕に
兄貴は少し強めに言葉を発した。

「蛍。お前、それでいいのか?
いつまでも、ひろかがそばにいてくれると思ったら大間違いだぞ。
ひろかに甘えんな」

黙ったままの僕の肩に手を置いた兄貴は、いつものやさしい口調に戻った。

「なぁ、蛍。大切なものは、必死にしがみついて離さない。
そうじゃなきゃ、絶対に手に入らないよ。
いつも逃げてばっかじゃ、大事な存在まで失うぞ」



兄貴はそう言って、最後の飲み会だと家を出て行った。

/ 700ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp