第79章 【縁下 力】あの頃描いた未来
「あっという間だったな…」
ピピピピ
電話に出ると、友人達からホームパーティのお誘いを受けた。
「Well, I’ll think about it.」
私は大きなツリーを見ながら、考えておく。そう答えたけど、おそらく私は行かないだろう。
こっちのクリスマスは日本と違って街は結構寂しい。
お店はほとんど閉まっていて、家の明かりがキラキラ眩しく、外まで楽しい声が聞こえてくる。
もう時計は23時過ぎを指していて、私はまた白い息を吐く。
「・・・帰ろうっかな」
私は最後にまたツリーを見上げた。
「こんな時間まで一人で出歩くのはどうかと思うぞ」
背後からかかる声に反応して振り返った。
「・・・力?・・・なんで?」
「卒業旅行」
力はそれだけ言って私の横に並び、大きなツリーを見上げた。
「ってか、こっちってクリスマスお店全然開いてないんだな」
そう言って力が私の方を向いた。
「これ、クリスマスプレゼント。こんなのしか買えなかった」
力が差し出した手からはサンタクロースのキーホルダーがぶら下がっていた。
「・・・ありがとう」
私は急に現れた彼に動揺を隠し切れないまま、そのキーホルダーを受け取ろうと両手を差し出した。