第79章 【縁下 力】あの頃描いた未来
「・・・ちゃんと考えなさい」
力はいつもそう。
分かってるよ。チャンスだってことくらい。
夢への道を遠回りしたとしても、好きな人といたいって思うのはおかしなことなの?
みんながみんな力みたいに強くないんだよ。
「どうして…どうして、止めてくれないの?行きたいよ!私だって行きたい!でも、でも・・自分の夢よりも力が大切だって思ったらダメなの?」
「行きたいなら行くべき。俺は・・・」
「バカっ!力のバカ!!無理だよ。私、4年も離れる自信がない」
私はあふれ出てくる涙を両手で拭った。
「・・・ひろか」
力は私の傍に来てぎゅっと抱きしめた。
「同じ日本にいたって、すぐそばにいたって別れるカップルは大勢いる。もし、ひろかが俺と居たいから向こうの大学に行かないと言うなら、今別れる」
「・・・ずるい」
ぐすんと鼻をすすって、私は力の背中に腕を回した。
「・・・力と別れたくない」
「じゃぁ、行って来いよ」
「・・・ずるい」
力の大きい手が私の頭を撫でた。
次の日、私は海外の大学に進学することを先生に告げた。
そのためには、もっともっと英語を勉強しなくてはいけなくて、毎日学校に残ってALTの先生と猛勉強をした。
ただただ必死に勉強をした。
そのおかげなのか、無事大学に合格することが出来た。