第79章 【縁下 力】あの頃描いた未来
「ちょっと休憩しよっか」
今日は私の家で力と一緒に勉強をしていた。
「ねぇねぇ。もしさ、同じ大学に行ったら同棲とかしちゃう?」
私がそう言うと、力はブッと噴出した。
「いや、さすがにそれは気が早いんじゃ…」
「だってさ、家賃半分だよ?その分お金貯めて、卒業と同時に結婚するの!どう?」
どう?って…と困り顔の力を置き去りにして、私の妄想は突き進む。
「縁下ひろかかぁ…うんうん。それで、数年は新婚生活を楽しみたいから、子供は27歳の時がいいかな?私は2人くらい欲しいな~。女の子と男の子。あとねぇ…」
ヤバい…。「もしも」の話をすると、いつも力は嫌な顔をする。
どうせ今も呆れた顔をしてるんだろうな…そう思って彼を見ると、予想と反して優しい笑顔でこっちを見ていた。
「・・・それもいいかもな」
まさかあの現実主義の力からそんな言葉が返ってくるなんて思わなかったから、私の心臓はバクバクして顔も熱を帯びてしまう。
「ちょっ・・ちょっと、お茶持ってくるね!」
私は勢いよく部屋を出た。
「・・・いきなりあんな顔するの、ずるいよ…」
口元が緩むのを必死に堪えて、私は一階のリビングにお茶を取りに行った。